講師コラム(第7回):V&Vに必要な3つの力、事実をとらえる、問題を発見する、課題を実行する

2019.11.07

私は、「V&Vメソッド」を用いて能力向上を図ったり、安全運転を推進する際に、とくに重要な力が三つあると考えています。
一つ目は、「事実をとらえる力」、二つ目は、「問題を発見する力」、そして三つ目は、「課題を実行する力」です。
一つずつ説明しましょう。
まず、一つ目の「事実をとらえる力」ですが、事実が曲がれば結果が曲がってしまいます。結果が曲がるとは、望む結果を実現することができないということです。望む結果を得たいのであれば、最初に事実を正確にとらえなければなりませんが、人はややもすると、事実と意見をごちゃまぜにしてしまったり、自分に都合よく解釈してしまいます。これには、ある程度の訓練も必要です。
次に、二つ目の「問題を発見する力」ですが、たとえば人は、忙しい日々の中では、どうしても、すでに顕在化している問題に対処することに終始し、本当に望む結果を得たり、目標を実現するための「潜在的な問題」を見ようとすることを忘れてしまう傾向にあります。すでに顕在化した問題への対処は、多くの場合、「マイナス」を「0」にすることはできても、「0」から「1」を創り出すことは、なかなかできないものです。これもまた、望む結果につながりません。
「問題」とは「こうありたい。」という理想像ともいえる「あるべき姿」と、それに対する「現状」のギャップで表わすことができますが、
問題を発見するとは、このギャップを意識して創り出す作業とも言えます。
最後に、三つ目の「課題を実行する力」ですが、「課題」とは言い換えれば、「やるべきこと」ですから、「問題」が明確になれば、これは自ずとわかってきます。
しかし、それがわかればできるかと言えば、必ずしもそうではありません。わかることとできることは違うのです。
では、できるためにはどうすればよいか?
それには、着手すること、やってみることが必要ですが、これができない人がいかに多いことでしょうか。
実際に、やってみて初めてわかることも多く、それによって、一歩進んだ新たな課題が生じたり、急速に状況が好転したりします。これは望む結果を得るための不可欠な力と言えます。
実のところ、この三つの力については、「安全運転の推進」も「仕事の能力向上」も、原理原則は同じです。
「安全運転の推進」は、「事故ゼロの実現」という「あるべき姿」と、「現状」のギャップを埋める問題解決なのです。
「継続は力なり」と言いますが、問題解決も、一回ですべて解決できればよいですが、実際には、そのようなことは希であり、問題が解決できたように見えても、状況が異なれば同じ問題が再現したり、新たな問題が生じたりするものです。継続的に、日々改善、日々向上していくことが大事です。私たちがお勧めする「V&V」メソッドは、その一連のサイクル(V&Vサイクル)を通じて、問題を継続的に改善することを習慣化する方法です。