injured ZEROプロジェクト V&V安全運転推進研修 with VOLVO(国土交通省事故防止対策支援推進事業カリキュラム)開催レポート

2018.11.13

【日時】2018年10月26日(金)
【場所】大磯ロングビーチ 第一駐車場
【主催】(株)スポーツドライビングジャパン

去る10月26日、株式会社スポーツドライビングジャパン(以下、SDJ)が『injured ZEROプロジェクトV&V安全運転推進研修 with VOLVO(国土交通省事故防止対策支援推進事業カリキュラム』を実施しました。
 
SDJでは、事故ゼロを目指すinjured ZEROプロジェクトの一環として、幾多のトップカテゴリー・レースで活躍したレーシングドライバー/自動車評論家の太田哲也校長のもと、独自の教育カリキュラム(V&Vメソッド)を提供しています。
 
V&Vとは、Vision&Voiceの略で、Visionは安全運転に対するあるべき姿を文言にしたもの(講義やレッスン時にSDJが提示=input)を、Voiceは、このVisionに基づき、日々の業務において、たとえばヒヤリ・ハット防止等のために得た気づきを記述した文章(講義やレッスン後に受講者が作成=output)を指します。
 
V&Vメソッドは、一般ユーザー向けにはもちろん、自動車メーカーの社員教育としても活用され、そこで提示されるVisionは、太田校長が極限状態で経験してきたレーシングドライバーとして得た知識や技能、また、大事故からの社会復帰という稀有な経験を踏まえて、プロフェッショナルとは何か、いかに社会や会社に貢献するか等にまで踏み込んだ内容となっています。
 
今回は、VOLVOの社員を対象として、安全運転講義、実技(まさかのアクシデントを想定した荷重移動によるスラローム、急ブレーキや緊急回避等)と、これらのinputに基づくVoiceのoutputを一日で行いました。XC40やV60といった教習車に乗って実技に臨んだ受講者は、クローズドコースだからこそ試すことができる操作を実際に行いました。ドライバーとしての安全に対する意識を高めて、実際の経験をしただけでなく、同時にクルマの安全性に対するVOLVOの総合的なアプローチである『インテリセーフ』の実力(安全性の高さ)を身をもって再確認しました。
 
交通事故の9割はヒューマンエラーが原因だと言われています。つまり、自動車の安全技術がいくら進歩しても、ドライバーの安全に対する意識を高めなければ事故は減らすことはできません。運転技術以前に、運転者一人ひとりの意識改革や人間力の向上が重要なのです。
SDJのV&Vメソッドでは、こうした意識改革や人間力の向上を実現することによってヒューマンエラーをなくし、事故を防止します。

昨今はSNSの発達により、加害者となった場合に社会に与える影響が少なくありません。特に自動車メーカーに勤める社員や自動車の運転を仕事にしている者は事故を起こしてはならないわけです。太田校長は現役時代は自動車メーカーのワークスドライバーでしたが、当時のドライバー教育において「公道で事故を起こしたら情報が拡散されて職を失う」という厳しい教えのもと、「プロ意識=責任感」を貫いてきました。コンプライアンス重視が強く求められる現代の企業にとって「人間力」や「安全意識」を社員に浸透させることは必須だといえます。

自動車関連の企業や団体は、人間力を高めることができる教育カリキュラムの『V Vメソッド』を積極的に取り入れ、ドライバーが加害者にならないための教育や意識改革に努めてみてはいかがでしょうか。

午前中のレクチャーでは、太田校長による「人間力を高めて、事故を防ぐ」をテーマとした講義と「レーシングドライバーによる安全運転講義・ベルシェイプ理論」に関する講義がありました。受講者たちは筆記用具を持参し、太田校長の話を熱心に聞きました。

ランチタイム中にモータージャーナリストの齋藤慎輔氏も加わり、「VOLVOの魅力」について語るトークショーが行われました。

トークショーおよび集合写真の撮影後に実技レッスンが始まりました。まず、太田校長と斎藤講師が運転する教習車に乗る講師同乗走行からスタート。

講師同乗走行で感覚をつかんだ受講者たちは、自ら教習車のステアリングホイールを握り、スラローム会場とブレーキング会場でクローズドコースだからこそ試すことができる操作を実際に行いました。

『V Vメソッド』を継続的に実行することで、受動的ではなく、能動的に自ら安全運転の方法を考える力がつくので、修了式にて太田校長は「今日体験したことを家に帰ってから思い出し、クルマがどのように動いたのかをもう一度考え、実際の運転時に役立てることが大事です」とコメントしました。

実技レッスンを担当した齋藤講師は「外から見ていて、VOLVO各車の横滑り防止装置が働き、クルマをしっかり制御していたことを確認できました。しかし、車両の能力が高く、限界が高いものの、それを超えるとドライバー次第ということになります。ですから、今回学んだ理論を運転時に思い出し、クルマの挙動を改めて考えてください」と話しました。

ボルボ・カー・ジャパン株式会社の代表取締役社長である木村隆之氏は「今日学んだことを身体にしみ込ませ、スタッフのひとりひとりがMr.VOLVO、Ms.VOLVOとしての自覚を持って行動していってほしい。今回のような体験をし、自社製品の安全性の高さを理解しておくと、いざというときに違うだろう」と社員たちに語りかけました。


参加者の声

・実技レッスンは、車の挙動を理解する上で極めて重要な機会でした。

・太田校長のお話は説得力がありました。

・限られた時間の中でいろいろなことが経験でき、とても良かったです。時間が経つと忘れてしまいがちなので、定期的に開催していただけるとよいと思います。

・短時間だったが、非常に時間を有効、効果的に使えた感がある。

・普段できない急ハンドル、急ブレーキを実施して、いい経験になりました。座学と実技とあっという間に時間が過ぎました。密度の濃い、いい研修でした。

・短い時間のなかでもよく理解できた。今後のトレーニングにも今回のVision、Voiceを取り入れたい。

・普段体験できない極限に近い状況での車の挙動と、その時にどうすべきか。また、そのために日常で意識しておくことを学べた。非常に貴重な機会となった。自社の商品力に改めて自信を持った。

・座学で予習し、それを体感し、自分で活かす事を考える、非常に濃い一日でした。

・意識していたつもりでも忘れていたことも多くリマインドできた。今一度ブランドとして安全の取り組みをスタッフひとりひとりが実践すべき。

・安心、安全のブランドを改めて誇りに思うとともに、その社員としての責任もまた改めて実感することができました。また、公道では体験することの出来ないブレーキング、スラロームの実践を体験でき、有意義でした。

・太田校長のお話は極限を経験され、そこからの回復につき、多くのご示唆に富んでいると思いました。今回は車の運転に結び付けられお話されており、ますます説得力がありました。

・校長の実体験をもとにしたVISIONを聞くことができて、とてもよい経験になった。

・車に関わる仕事として避けては通れない安全について今一度改めて考えさせられる実感のこもった講義(VISION)、そして万一の時にいかに自分、周囲の安全を守るかという実技、さらに振り返りのアウトプット(VOICE)を通して、頭と身体の両方で体感することができ、忘れられない一日になりました。ありがとうございました。

・太田さんの貴重なご経験から今後取り組みたい多くを学ばせていただきました。また、緊急回避など通常体感できない経験を存分にさせていただき、大変勉強になりました。今後もこのような安全に関わる取り組みに積極的に参加したいと思いました。

・最初から最後まで非常に整理/統制されたカリキュラムで、メリハリあり1日経過するのが早く感じました。太田氏のレクチャーは日本全国へ届くべき内容かと思います。

・自らの運転を省みるよい機会となりました。反省をして安全運転を徹底していきます。最後にアウトプットまで導いていただけたので、身になる講習となりました。

・安全運転というものに対して真摯にきちんと考えるよい機会となりました。自らの体験にもとづいてお話をしてくださった太田哲也様のカリキュラムは非常に説得力があり、あっという間に時が過ぎました。

 

文責/高桑秀典