2024「SUBARU V&V安全運転推進研修」第1日目レポート
2024.09.12
国内の交通事故死者数は1970年の1万6765人をピークに減少へと転じ、2023年は8年ぶりに増加したとはいえ2678人と、「交通戦争」と呼ばれた時代から見て約1/6の規模へと減らしています。
この数値へと至った理由には、交通インフラの整備や医療の発達、自動車が備えるアクティブ/パッシブ・セーフティ機能の高性能化など、様々な要因が複雑に絡み合っていますが、自動車業界の目標も「インジュアードゼロ」、即ち交通死傷者ゼロの実現に向けて動いています。
この「インジュアードゼロ」につながる先進安全システムを国内でいち早く展開し、一般化させるのに貢献したのが富士重工業(現在のスバル)が開発したアイサイトでしょう。この事実ひとつをもってしても、スバルの安全に対する高い意識が窺えるわけですが、その源の一端になっているであろう安全運転研修会を、スバル本社で取材しました。
これは「PROJECT V&V安全運転推進研修」という、株式会社スポーツドライビングジャパン(以下、SDJ)が主宰する研修会です。交通事故を無くすための取り組みを言語化し、自動車メーカーに特化したローカライズを施したスペシャルプログラムで、スバルでの研修は2017年よりスタートして2024年で7シーズン目を迎えています。「V&V」とは後述するように「Vision&Voice」を意味します。
カリキュラムは半日から1日かけて実施され、1シーズン全4回にわたって行われますが、今回はその第1日目の様子をレポートします。
最初にSDJの講師、吉井氏から「PROJECT V&V安全運転推進研修」について、その目的と意義、取り組みなどの概要が103名の受講者(スバル入社2年目のエンジニアが対象)に伝えられます。そしてSDJのドライビングスクールで校長を務める太田哲也氏が、実際にアクシデントに見舞われた際の実体験を語りました。
その体験談を通じて、交通安全に対する意識改革の重要性や安全運転に必要なもの、つまり「Vision=安全運転に対するあるべき姿」を講義し、その内容から受講者は「Voice=受講者自身が各自の理解度や実際にどのように行動が変わったのか」を記述します。
その後、受講者はグループ毎にディスカッションを行って記述を行い、講師による添削指導を繰り返し受けて理解を深めていくというのが「PROJECT V&V安全運転推進研修」の骨子ですが、研修会では講師と受講生の間で質疑応答も行われ、活発な意見交換が見られました。
交通安全意識の重要性とそれをテクノロジーで実現するを冥利を語りかけたこの研修は、スバルの未来を担っていくべき若きエンジニア達の心に大きく響いたことでしょう。受講生には太田哲也校長の著書『クラッシュ 絶望を希望に変える瞬間(とき)』が贈呈され、1回目の研修回は講師と受講生揃っての記念写真で締めくくられました。引き続き2〜4回目の研修会もレポートしていきます。
(レポート:甲斐貴之)